リモナイト 褐鉄鉱 Limonite

褐鉄鉱 リモナイト limonite 福島県信夫郡(シノブグン)吾妻(アズマ)産出(現在の福島市)
褐鉄鉱
 福島県信夫郡(シノブグン)吾妻(アズマ)産出(現在の福島市)

褐鉄鉱という名称に関してですが、鉱物名では使用しません。
褐鉄鉱は針鉄鉱(ゲーサイト)もしくは鱗鉄鉱(レピドクロサイト)が混じったものの名前、もしくは鉄の酸化したもの(早い話がサビ)を言います。
いわゆる一般的なサビとは、この褐鉄鉱のことです。

写真を見てもらうといかにもな色をしていると思います。
鱗鉄鉱・針鉄鉱以外にも他の鉱物が混じっていることもあり、この酸化する前の鉄分を含む鉱物である、菱鉄鉱・磁鉄鉱などが酸化しきらずにそのまま出てきたりもします。
見た目は写真のものが代表的で、土のような塊が多いですが、ぶどう状・針状の場合もあります。
また、色見も黄色味が強いものから黄土色・黒までバリエーションがあり、半透明のものもあります。
また粉のようになっているものもあります。
へき開は完全で、硬度は5~5.5(ナイフで何とか傷をつけることができる)です。
ちなみに、この名前の由来はギリシャ語で草地の意味で”leimon”だそうです。

リモナイトとラテライト

このリモナイトで無視できないのが”ラテライト
農業には向いていない、痩せた土としてよく言われる赤土の代表です。
亜熱帯・熱帯の地域に分布しており、インドなどはレンガの原材料として使用しているそうです。
このラテライト中でリモナイトは多く生産されます。
色をイメージできると、なんとなくわかるような気になります。

リモナイトの用途

褐鉄鉱 リモナイト Limonite 福島県信夫郡(シノブグン)吾妻(アズマ)産出(現在の福島市)
褐鉄鉱
福島県信夫郡(シノブグン)吾妻(アズマ)産出(現在の福島市)

黄色の絵の具の原料としても使われているそうで、海外サイトですが”リモナイト”という名前の顔料を見つけました。
キプロス産の針鉄鉱で作られた顔料とのことのようです。
また、このリモナイト、消臭作用に優れているそうで、ワンちゃん好きの方はご存知かと思いますがワンちゃんのおやつなどに混ざったものが販売されています。

沼鉄鉱 高師小僧

高師小僧 大阪府箕面市待兼山 (大阪大学豊中キャンパス) LIMONITE
高師小僧
大阪府箕面市待兼山(大阪大学豊中キャンパス)

この褐鉄鉱、色々な形と呼び名を持つ石でもあります。
沼鉄鉱という名前も持っています。
沼などで鉄分を含む水が沈殿し周りにあった草や木を含むことで化石を巻き込み、褐鉄鉱を形成したものを呼びます。
これの代表は高師小僧(たかしこぞう)
愛知県のものが有名ですが、他の県でもあります。
しかし、天然記念物に指定されていて採取禁止になっているところもあるので要注意です。
細長い形で、根があった部分が空洞になっているものもあります。

香合石

そして、私も以前行きました奇石博物館にあります香合石
岩石好きの方はわかると思いますが、頁岩節理に褐鉄鉱が沈殿し、入れ物のような形になったものです。

壺石

そして壺石というものもあります。
小石や粘土が褐鉄鉱で固められた壺状のものです。
中身の粘土を繰り抜くと、お水ももれないものらしいです。

鳴石

更に鳴石というものもあります。
振るとカランコロン音がする石で、褐鉄鉱(鉄分)が染み込んだ粘土の外側が先に固まり、中身の粘土はゆっくり水分が抜け、空間が空いたところに小さい塊が残ったものです。

豆鉄鉱

豆鉄鉱という名前のものもあり、褐鉄鉱がある表面に、豆のような形でころころとあるそうです。

武石

そして最後に武石
”ブセキ”と読みます。
長野県武石村(現在上田市に併合)から出たもので、黄鉄鉱(パイライト)が酸化して、黄鉄鉱の結晶した形のまま褐鉄鉱になってしまったものを呼びます。
ちなみに、これを仮晶といいます。
※仮晶とは、とある鉱物が結晶した形を残したまま、中身が別の鉱物に置き換わってしまうこと。
見た目の形は、変わる前の鉱物の結晶の形のもので、変わった後の鉱物の結晶の形ではありえないものとなります。
パイライトは六・八面体・五角十二面体などが結晶の形ですが、この形のまま褐鉄鉱に置き換わったものが武石です。
褐鉄鉱の結晶の形はこの形はありえません。
(通常は土のような塊が多く、ぶどう状・針状もあります。)