パイロキシン 輝石 pyroxene
頑火輝石 岩手県宮古市川井 |
和名は輝石(きせき)。
鉱物の名称ではなく、造岩鉱物のグループ名です。
造岩鉱物(岩石を構成する鉱物)の分類上で一つのグループを形作っています。
組成も複雑で数も多く存在します。
輝石グループ
Kunzite Pakistan |
この輝石グループは21種類以上の鉱物があります。
造岩鉱物の分類に当てはまる鉱物は他に、輝石・角閃石・雲母・かんらん石・柘榴石などがあります。
輝石は結晶系によって大きく2つに分類されています。
- 斜方輝石 エンスタタイト(頑火輝石)等
- 単斜輝石 エジリン・普通輝石・灰鉄輝石・透輝石・ヒスイ輝石・リシア輝石(クンツァイトやヒデナイト)等
名前の通り、普通輝石が一番多く、その次が透輝石(ダイオプサイト)と灰鉄輝石です。
この2つはとても似ています。
また、輝石は月や隕石からも見つかっており、透輝石はコンドライト(隕石)の中に少量含まれています。
※灰鉄輝石 Hedenbergite 呼び名がたくさんあります。
ヘデン輝石・ヘデンベルグ輝石・ヘデンベルガイト・ヘデンバージャイトどれも全て灰鉄輝石(かいてつきせき)のことです。
名前の由来
パイロキシンとは、ギリシャ語で”火”の意味の”パイロ”と、”外”という意味の”キセノス”という言葉が由来だそうです。
”火の外”
以前輝石は溶岩の中にたまたま入りこんだのであろうという考えがあったためだそうです。
基礎データ
- 化学組成 ケイ酸塩鉱物 イノ珪酸塩
- 色 黒 褐色 暗緑 紫 等
- 条痕 淡緑色 淡褐色
- 結晶系 単斜晶系 斜方晶系
- へき開 明瞭
- 硬度 6
- 比重 3.1~3.6
化学式
輝石の化学式は、[X2Y2O6]で表すことができます。
- X Li Na Mg Al Ca Ti Mn Fe
- Y Si Al
輝石の仲間ご紹介
頑火輝石 enstatite(ガンカキセキ・エンスタタイト)
頑火輝石 岩手県宮古市川井 |
頑火輝石は塊状のほか、柱状結晶も見られます。
写真は針状結晶が放射状に広がっています。
菊寿石の呼び名もあります。
耐火性に優れていることからこの名前がついたそうです。
1570℃までの熱に耐えると言われているとのこと。
頑火の頑は、かたくな(頑固)そして強い体(頑強)などに使われますね。
頑火輝石 岩手県宮古市川井 |
サイズ 15.5センチ×11センチ×13センチ ずっしりです。
表面を研磨してあります。
※鉄の量(副成分として含む)が10%~30%となるものは以前、古銅輝石・ブロンザイトと呼ばれていましたが現在ではこの名称は使われていません。
基礎データ(頑火輝石)
- 化学組成 ケイ酸塩鉱物 Mg2Si2O6
- 色 褐色 灰色 緑 帯黄色 等
- 条痕 灰色 暗緑色
- 結晶系 斜方晶系
- へき開 完全
- 硬度 5~6
- 比重 3.2~3.6
錐輝石 Aegirine (キリキセキ・エジリン)
Aegirine Mt.Malosa Zomba, Malawi |
Aegirine Mt.Malosa Zomba, Malawi |
先が尖った形の結晶が見られることからこの和名となったそうです。
英名は北欧神話の”エーギル”にちなむとのこと。
発見されたのはスカンジナビア半島に位置するノルウェーで海の神であるエーギルより命名したそうです。
エジリンという名前はピンとこなくとも、チャロアイトの黒いとこ!というと、おお~!と思う方も多いと思います。
エジリンは石英・曹長石・霞石等と共生し柱状や針状で光沢感があり、条線が表面にあるものが多く見られます。
エジリンは、その成分が置き換わるといろいろな輝石に置き換わります。
例えば、鉄がアルミニウムに置き換わるとヒスイ輝石 NaAlSi2O6 となります。
さらに普通輝石(augite・オージャイト)とは固溶体※で、その中間組成のものをエジリンオージャイトと呼びます。
※固溶体とは、2つ以上の元素が融け合って混じり合い均一になっているものをいいます。
固溶体とか置き換わりに関して書いていくとキリが無くなるのです。
よい標本があったりなど、機会がありました時に加筆させていただきます。
(詳しく知りたい方はぐぐると出てきます。ごめんなさい^^;)
基礎データ(エジリン)
Aegirine Mt.Malosa Zomba, Malawi |
- 化学組成 ケイ酸塩鉱物 NaFe3+Si2O6
- 色 緑 黒 緑黒 赤褐色 等
- 条痕 淡黄灰色
- 結晶系 単斜晶系
- へき開 明瞭
- 硬度 6
- 比重 3.2~3.6